梅雨明けの8月2日、野島順子さん一家は元気な姿で玄関先に立っていました。 順子さんは今回で4回目の宿泊です。勝手知ったる我が家ふうに「さーああがって。 旦那さん、娘夫婦にお部屋の場所を指示します。」白い盲人用の杖を脇に抱え階段を昇る。 順子さんも目が不自由ですが、宿に入れば普通の人と変わるところがありません。 すっかり建物の内部が頭にはいっているからです。 初めて投宿した折、庵主の案内の後に付いて歩き手、足、体全体で様子を掴み、細部に至るまで頭に入れてしまったのでしょう。 お友達と来るときも「点字図面石橋庵」を作っていますから安心です。 盲学校同窓会も大変賑やかでした。貸切ですが二十数人の仲間たち全部が石ばし庵の様子を知っていました。だから受け入れ側も気を使うことなく“健常者”と同じおもてなしをすればよいわけです。 食事、これまた見事。言葉で説明すればそれでよし。 「長いお皿はカマスです。大きい洋皿はゆばステーキ」。 指先の感触が鋭敏なのでしょう。「石ばし庵の器、良いものを使っていますね」。 こちらがびっくりするほどの観察眼です。盲人の世界を知らない我らスタッフにとっては貴重な経験です。外界から疎外されているか、とおもえばまるで違う。 社会的訓練、社会性を身につければ自立的に生きられる。 野島順子さんたちから学ぶことが多い。
庵主
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